SWANS「FILTH」
ロリ・モシマンがドラマーだった時のスワンズが好きだ。彼が抜けた後は違うバンドになった。メンバーが違うのに同じ方向性に固執したから、余計に誰もモシマンの代わりができないことが明白になった。一本調子になりかねないリズムの反復が単調にならないのは、モシマンが叩きだすビートに起伏があって、ドラマチックだからだ。ノーマン・ウェストバーグのギターが担う役割は大きい。肉食人種の儀式のようにひたすら反復して炸裂するリズムに、繊細で鋭利なフレージングで陰影と深みを持たせているから。1983年発表
豊永亮(23) 09/Dec/2015
CAPTAIN BEEFHEART & HIS MAGIC BAND「TROUT MASK REPLICA」
ビーフハートの歌よりもその才気とカリスマ性に対する興味がある。彼の天才を発揮するには忠実なシモベ、バンドが必要だった。カルト的共同生活の中、バンドがなんとかやっていけたのは前人未到の音楽創造の情熱があったから。半年間、各パートが緻密に絡み合うポリフォニックな曲の練習に励み、たった一日で収録された演奏は気迫に満ちている。こんなことは稀にしか起こらない。若干の編集を除き、リヴァーブなどのギミックを排した潔いプロダクションにビーフハートとバンドの強い意志を感じる。1969年発表
豊永亮(22) 04/Dec/2015
THIS HEAT「THIS HEAT」
1979年発表の本作はバンドの結成1976年から1978年までの集大成。技術、経歴の有無はそれぞれの個性の前では問題ではなく、三人で実験に向かうことが大事だった。探究の成果はあたかも音楽の起源から現代までの歴史をシミュレートするかのようだ。音楽に身を捧げた三人が「おぞましきプロセス」(ウィリアムズ)を経て作り上げた音楽は、怒りや悲しみなどの言葉になる前の根源的な感情が、冷徹なまでに研ぎ澄まされた演奏、躁状態が反復するループ、テープ録音された虚ろな音響と祈りのような歌から表れる。
豊永亮(21) 09/Nov/2015
NIK TURNER「SPACE FUSION ODYSSEY」
バリバリ現役ニック・ターナーの新譜が出ました♪
今回はオールインストのスペイシーなサイケロック満載!
スティーヴ・ヒレッジほぼ全編参加。
ゴングのGilli Smyth 、ドアーズのGu.やアモンデュールⅡのメンバー等超豪華ゲストの強力盤!
ニック75歳!
01/Nov/2015
SCHLIPPENBACH & JOHANSSON「LIVE 1976/77」
ヨーロッパ・フリー界のシュリッペンバッハ(ピアノ)とヨハンソン(ドラムス 他)による演奏は即物的な音の表出と気まぐれな感情の断片的な爆発が嵐のようだ。自由でしなやかでパワフルな演奏に憧れる。随所で引用されるセロニアス・モンクのフレーズ、そこはかとなく漂うユーモア、ジャリジャリ言う鎖の音、アコーディオンの弾き語り等々、雑多な要素が散らばっているが、全編は硬質な調子で貫かれている。ヨハンソンの演奏はネットでも観ることができる。キュウリをスティック代わりに使ったドラム・ソロは最高。
豊永亮(20) 18/Oct/2015