sylvain sylvain も亡くなってしまった。
17/Jan/2021
LEE RANALDO「FROM HERE TO INFINITY」
パーカッシヴな音や、フィードバックなどのループが精妙にミックスされた曲もあれば無機質なノイズがぐにゃぐにゃと反復される曲もある。ミキシング作業が占める割合は高い。それぞれの曲の最後はターン・テーブルのアームを上げない限り、ループがエンドレスにつづく仕掛けが透明なレコードに施されている。映画のとても短いシーンの反復を暴力的に見せられている様だ。注意深く聴くと、ザラザラとした音像の中から緻密な音に覆われた密林の様な美しい世界が立ち現れてくる。1987年作
豊永亮(61) 31/Dec/2020
MARK KNOPFLER「CAL」
アイルランド紛争を背景にしたこの映画を見た事はない。主人公の青年キャルが警官に銃を突きつけられたジャケット写真から伝わってくるのは不穏な空気だが、ダイアー・ストレイツのマーク・ノップラーが手がけたアイルランド民謡調の音楽は牧歌的で美しい。緑豊かな雄大な大地や大空を連想させるメロディーと、宗教から端を発した悲劇的な争いと、キャルが関わったテロで死亡した男の妻との束の間のはかない恋などを通して描かれる人間ドラマが対比されているようだ。1984年作
豊永亮(60) 03/Nov/2020
SONIC YOUTH「KILL YR. IDOLS」
なんとも禍々しい音楽だ。ブンブンうなったり、ぐにゃぐにゃにチョーキングされたり、不気味な音階のアルペジオが奏でられるツイン・ギターがキム・ゴードンの高ぶった感情を加速させる。フリー・ミュージックからの感化なのか、ひとつの頂点に向かうアンサンブルは今にも爆発しそうな緊張感に満ちており、激しい感情の吐露の末にはカタルシスが訪れる。タイトル曲と『ブラザー・ジェイムズ』の感性は突き抜けている。ボブ・バートの図太くタイムを切り刻むドラミングが素晴らしい。1983年発表
豊永亮(59) 18/Sep/2020
HAL WILLNER「AMARCORD NINO LOTA」
高校生の時、ジャケットの色っぽさに購入した。フェリーニは知っていたが、プロデューサーのハル・ウィルナーの名は知らなかったし、このレコードの演者達のこともほとんど知らなかった。このレコードでフリーのスティーヴ・レイシーを初めて聴いたが、繊細極まりないソプラノ・サックスを吹く人が何者であるのかを認識したのは大分後のことだった。レイシーの演奏からW・フィッシャー指揮によるメドレーへの流れは何回聴いてもはっとさせられる。コロナで亡くなったウィルナーの冥福を祈ります。1981年作
豊永亮(58) 11/Sep/2020