KURT VILE「b'lieve i'm goin down」
カート・ヴァイルの2年振り新作。
今回は歪んだGu.サウンドがかなり抑えられていてアコースティックなドリーミーな曲が多く夢見心地な気持ち良いアルバム。
聞くたびに発見がありじわじわと来ている処ですわ。
Matador recordsからの発売。
11/Oct/2015
ALBERT AYLER「MY NAME IS ALBERT AYLER」
1963年コペンハーゲンでの録音。アイラーはずっと気になるミュージシャンだった。主にスタンダードを取り上げたこのアルバムでは、すでにアイラーは身体の内と外がひっくり返ったような強烈な演奏を繰り広げている。これは新たな音楽の地平を切り開いたもので、今でもインパクトを持つ。他方では彼の演奏を嫌う人もいる。何故だろう。とにかくこのアルバムでのアイラーの音は若々しく清新で心を揺さぶる。音もミュージシャンの年齢と共に変化してゆく。1970年に34歳で他界したアイラーの変化をもっと見たかった。
豊永亮(19) 27/Sep/2015
深沢七郎「流浪の手記」
何度も読み返している。小説『風流夢譚』がきっかけで 起きた殺人事件の後、石狩から届いた脅迫状の名も知らぬ送り主に殺されることをひそかに願って深沢は北海道を放浪した。チンピラ青年と行動を共にして女の子といちゃついたりするものの、常に深沢は孤独を保っている。北大でのクラーク博士をめぐるとぼけた珍問答から深沢ならではの人生観がうかがえる。最後の場面、立ち寄った民家で深沢の乞う水のうまそうなこと!深沢七郎が殺されずに生きて、この瑞々しさに溢れたエッセイを書いてくれて良かった。
豊永亮(18) 09/Sep/2015
空間現代「LIVE」
ギター、ベース、ドラムスのオーソドックスなトリオ編成による注目すべき演奏。2013年12月28日のライヴ録音。間を多用したリズムの底辺にはフリッカーのような細かいパルスがあり(実際には聞こえないが、そう感じる)、その上にミニマルなフレーズが厳格に構成されている。印象は機械的な冷たいものではなく、人間にしか出せないテンションを感じる。テレキャスターの鋭角的なカッティングとどくどくと脈打つような骨太のリズム隊との絡みがエモーショナルな世界を作り出していく様は圧巻。
豊永亮(17) 17/Aug/2015
YBO2「ALIENATION」
北村昌士、K.K.NULL、吉田達也のトリオによる1986年のアルバム。プリミティブな衝動に満ちた音楽は過剰なまでに騒々しい。同時に震えるような繊細さと知性も感じさせる。大まかな曲構成の中で即興的に緊張感をもって生成される音楽は、この世界を突き抜けてトランス状態に至る軌跡を描いているかのようだ。ここにははったり的な要素も含めて過剰な世界が出現している。「スカボロ・フェア」を悲痛なまでに激しくアレンジした「アメリカ」、夢野久作の「猟奇歌」、核施設の事故が題材の「ウラル」など名曲ぞろい。
豊永亮(16) 11/Aug/2015