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Kyoto RockBar GALAXIE500
Kyoto Rock Bar GALAXIE500 365 Days Album 035
CAN「MONSTER MOVIE」

CAN「MONSTER MOVIE」

カンの音楽は先鋭的なのにノスタルジックで、その中心には柔軟性に富んだヤキのパワフルなドラミングと時にアルペジオを奏でるホルガーのベースがある。単音が効果的に使用されるオルガン。鮮烈な印象を残すギターの乾いた音色。そこにマルコムの声が加わるとマジックが起こる。渦巻くリズムが巨大なうねりを作り出す大曲『あなたは正しいことをなす』、後ろ髪を引かれる様なギターのサスティーンが美しいバラード『マリー、マリーあまりに真逆な』他2曲を含む1st。1968年発表

豊永亮(66) 14/Jun/2021


CAN「DELAY 1968」

CAN「DELAY 1968」

カンの最初の歌手マルコム在籍時の録音。曲調はロックンロールの反復を基としたリズミックなもので、シンプルな歌は誰でも作れそうで作れない魅力がある。マルコムの祈祷師の様に言葉を連呼する歌と、リズム隊を中心に即興的に変化していくスリリングなアンサンブルが聴きものだ。イルミン・シュミットはこの時点ではオルガンしか弾いておらず、その音色のストイックさがプリミティブな曲想に合っている。”蝶々”と”UPHILL”の緊張と開放の目眩く展開から訪れるカタルシスは他に代わるものがない。

豊永亮(65) 01/Jun/2021


JIM O'ROURKE「DISENGAGE」

JIM O'ROURKE「DISENGAGE」

1992年に発表されたオルークの水を主題としたアルバムは一度耳にしたら忘れることのない不気味な調子に貫かれている。『若者への溺れることの手引き』ではドローンから始まって、無機質な電子音の執拗な繰り返し、低音のうねりへと物語が語られる。次々と場面が転換するのは『湖』も同じだ。大変な世界だが不思議とエモーションを感じさせない。この乾いた感情移入を許さない音世界は、僕の馴染んだ1980年初期のバンド達の表現とはベクトルを異にしている。どうしてこの人はこんなにも覚めているのか。

豊永亮(64) 05/May/2021


ALTERNATIVE TV/THE GOOD MISSIONARIES「SCARS ON SUNDAY」

ALTERNATIVE TV/THE GOOD MISSIONARIES「SCARS ON SUNDAY」

1979年のアルバムVIVING UPツアー時のライブ録音。中心にあるのはペリーの歌で、それを成り立たせる演奏はパンクを超えてフリーの領域に踏み込んでいる。刺激的で気骨あふれるパフォーマンスが前衛ごっこになっていないのは、彼らが様々な試みを等身大の表現に手繰り寄せて練りだした結果だろう。バンドはパンク調の曲を求める聴衆の暴力によりツアー途中にバンド名の変更を余儀なくされた。西洋人の凶暴性は僕には理解できない。くそだ。アルバム最後に会場の騒然とした様子が収められている。

豊永亮(63) 05/Mar/2021


KATE BUSH「THE DREAMING」

KATE BUSH「THE DREAMING」

1982年発表の傑作。圧倒的なケイトの歌から伝わってくる感情の振り幅は大変なものだ。あたかも彼女はこのレコードに彼女の人生を封じ込めようとしたかのようだ。重たいアルバムだが、真に聴くに値する音楽とはそのようなものではないだろうか。何故なら俺たちはそれぞれの人生に忙しすぎてつまらないものに付き合っている時間がないからだ。ケイト流の精緻なアレンジメントの背後に様々な音楽からの影響を感じ取ることができる。「ドリーミング」は不思議なレゲエでその最たるものだ。

豊永亮(62) 22/Feb/2021


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