HARRY PUSSY「YOU’LL NEVER PLAY THIS TOWN AGAIN」
ビーフハートのマジック・バンドがNO NEW YORKやソニック・ユースに感化されてハードコアノイズパンクを演ったようなところいっぱいの1997年のライヴとスタジオ録音を編集したCD。バンド名はいくつかの候補の中から最低のものを選んで付けられた。アドリスの野生児のごとき無垢な感情が爆発するヴォーカルと女性らしい丁寧なドラミング、ねじれ砕け散るツイン・ギターのパワフルな組み合わせが魅力的。これを聴くと心に平安が訪れる。
豊永亮(7) 06/May/2015
BUILT TO SPILL「UNTETHERED MOON」
ビルト・トゥ・スピル6年ぶり新作!
DOUG以外のメンバーは 入れ替わり1曲目からかなりパワフルなリズムとギターフレーズで今までにないくらいの力強さ。
メランコリーさも残しながらも今作は気合いの入った楽曲多し。
常連のQuasiのSam coomesは今作はKey.はもちろんプロデュースで参加してます。
30/Apr/2015
CAMBERWELL NOW「THE GHOST TRADE」
透明感のあるキーボードの音色が際立って美しいキャンバーウェル・ナウの1986年発表の力作。最初のレコードと比べると、曲調はポップさを増して聴きやすくなっているが、アンサンブルの核たるリズムセクションは力強く、精緻な展開を見せる。ヘイワードの歌声はディス・ヒート時代よりも彼の個人的な感情を素直に表現している。リリシズムを湛えた実験精神と健全な人間のあるべき姿を問いかける真摯な言葉がひとつになった音楽はプロテストソングを超えて、その美しさが胸を打つ。
豊永亮(6) 14/Apr/2015
CAMBERWELL NOW「MERIDIAN」
A面のヘイワードのメランコリックな歌の背景の、曇り空の遠くで鎖がぶつかり合うような音響が美しい。B面では繊細かつ重たく時を刻むヘイワードの反復するドラミングと、寡黙で、タイトなトレファー・ゴロンウィのベースのコンビネーションが披露される。新たなリズム・セクションの誕生だ。ゴロンウィのひとつひとつの音の輪郭がクリアーにはじける驚異的なアルペジオはまだここでは聞かれず、次のレコードまで待たねばならない。フュージョンなんぞに走ってくれなくてよかった。(1983年発表)
豊永亮(5) 07/Apr/2015
UNEVEN ELEVEN「LIVE AT CAFE OTO」
河端一、チャールズ・ヘイワード、ギ・セジュールのトリオの2013年5月のロンドンでのライヴ録音。CD2枚組のうち、特に素晴らしいのは2枚目の伸びやかな演奏。1枚目では互いの遠慮からか演奏が噛み合っていない場面があるが、ここでは河端は豪放にギターをかき鳴らし、6弦ベースのセジュールは繊細に音を紡ぎ、ヘイワードの高速ドラミングと一体になったアンサンブルを展開する。全体の音がひとつに溶け込んでいる様は現場で体験したかった。
豊永亮(4) 29/Mar/2015