CAN「TAGO MAGO」
フィッシュマンズの佐藤伸治の歌はその線の細さがダモ鈴木と似ていると思う。リズミックな唱法のマルコムからダモに変わったことで曲は以前よりもメロディアスになり、どことなく日本のグループ・サウンズのようでもある。マルコム時代よりもリズムが細かくなり、後に顕著になるアフロ・ビートへの接近も垣間見えるが、カンのカンたる反復するドラムスとベースを軸に饒舌なギターとエレクトリック・ピアノ、生々しさを伝える録音と大胆な編集、ノスタルジックな曲想が混合するハイブリッドな音楽が誕生した。1971年発表
豊永亮(82) 23/Feb/2024
HENRY COW「UNREST」
テープ編集、操作等の作業が駆使された本作にはカウのフレキシブルな音楽性が詰め込まれている。アルバム前半にはロックとも現代音楽ともつかない独特の器楽曲を、後半には即興演奏を編集、加工した曲を収録。バラバラと配置された音が不安定にたゆたい、星雲状の音像が消えたのち、ピアノの弾き語りで締め括られる『氾濫』の構成は見事だ。各楽器の演奏が塊にならず拡散、展開するアンサンブルと伸びやかなリズム・セクションが印象に残る。1974年作
豊永亮(81) 23/Jan/2024