SPARKS「ANNETTE」
2021年公開のレオス・カラックス監督作品のサントラ盤。現実と幻想が渾然一体となって渦巻く映画の場面が思い浮かぶ。ミュージカルという体裁が登場人物が突然歌い出す必然性を与えるが、僕はこれがずっと馴染めないでいた。好みの話。俳優たちの歌が撮影時に録音されたというのは信じ難い。躍動感のある”SO MAY WE START”、”WE LOVE EACH OTHER SO MUCH” の悲しげな旋律、友愛に満ち溢れた”IT’S THE END” 等々聴きどころ満載だ。一度観たら決して忘れることのできない作品だ。
豊永亮(73) 30/May/2022
ROBIN HOLCOMB「ROBIN HOLCOMB」
1991年N.Y.でそのライヴ演奏に接することができたのは幸運だったと思う。なんとなく中島みゆきに似た歌声と、ほのかに光が差すような世界は暗いと言えば暗い。ホルコムのご主人ウェイン・ホービッツが京都に滞在した際、宿主があなたの奥さんの音楽が好きですと言うと、国際電話で「お前の音楽を好きだという人が日本にいるぞ!」と伝えたというエピソードは心温まる。反復される旋律が織りなす抒情性はアメリカ人の過去の記憶にさかのぼるかのようだ。1990年作
豊永亮(72) 03/May/2022