
CARLOS D'ALESSIO「INDIA SONG」
アルゼンチン出身のダレッシオが手掛けたデュラスの映画音楽集。前半の『インディア・ソング』(’75)はルンバ、タンゴ、チャールストンなどの曲名が示す通り様々な様式にテーマの旋律が変奏されている。シャネルのCMにも使われたテーマのけだるい調子が、それぞれのアレンジの中でその表情を魅惑的に変えていく。映画の中ではこれらの曲が場面の中身とはほとんど関係なく使われていた印象が強い。後半は他の映画から編集されている。カリプソの歌『マニャーナ・グッバイ』が良い。1984年発表
豊永亮(57) 03/Sep/2020

JON HASSEL「LISTENING TO PICTURES」
長いキャリアを持つ作曲家、トランペッターのジョン・ハッセルによる2018年の作品。エレクトロニクスを軸に展開されるリズムは多面的なしなやかさがあり、オーケストレーションは彩り豊かなゆったりとした空間を作り出している。空気が抜けていくような独特のトランペットの浮遊感漂う演奏も健在だ。リラックスしたハッセルの音楽はハッセルの呼吸と照応している。このアルバムは浮世の憂いをしばしの間忘れさせてくれる効果があると思う。
豊永亮(56) 28/Aug/2020

Takuji Naka / Tim Olive「THE NEW ATTRACTIVE」
中琢爾(テープ、スプリング・リバーヴ)とティム・オリーブ(クレジットにはmagnetic pickupsとあるが、何回か私が見たライヴ演奏から察するに、これはテーブルに寝かせた、弦を数本張ったギターと思われる)による2013年録音の即興演奏。隙間から漏れ出る空気の様な音や金属の物体がぶつかる様な音、すり鉢に何か硬いものを擦り付けているような音の重なり合いはプリミティヴな肌触りがあるが、全ての音は電気処理されていて未来的な響きもある。決して聴き飽きることがない深みのある演奏だ。
豊永亮(55) 14/Aug/2020

Built to Spill「plays the songs of Daniel Johnston」
2017年ダニエル ・ジョンストンの最後のツアーでバックバンドとして演奏したビルト・トゥ・スピル。
バンクーバーでのライブ前リハーサルを兼ねて録音された音源が発売されました。
全曲ダグが唄うダニエルのカバー集。愛に満ち心地よい脱力感溢れるアルバム。
17/Jul/2020

ゴダイゴ「ガンダーラ」
1978年放映のドラマ「西遊記」のテーマ曲は13歳だった当時強く印象に残っていた。繊細なドラミングを中心としたリズムセクションと折り重なるギターの分散和音、控えめに鳴り続けるキーボード、この世には存在しないユートピアへのはかない希求がつづられる歌。新型コロナ・ウィルス感染の脅威にさらされる今この歌がこころに染み入る。曲の終盤のキーボード・ソロのマイナーな調子にドイツのCANの名曲「ヴィタミン・C」のキーボード・ソロをかたよった私的音楽体験から連想する。
豊永亮(54) 11/Jul/2020